カーブチー

 皆さんは「カーブチー」というカンキツをご存知ですか?カーブチー(学名:Citrus keraji var.kabuchii hort.ex Tanaka)はシークヮーサーやオートー、タロガヨと同じく、沖縄原産の在来種で、沖縄の人にとっては昔ながらのカンキツなのです。

 カーブチーの「カー」は沖縄の方言で"皮"を表し、「ブチー」は"厚い"を意味しています。カーブチーは、この名前のように厚い果皮をもっており、果実の外見はごつごつしてあまり見栄えがしません。皮は浮皮となるため、簡単にむくことができますが、皮が厚い分、果実全体の大きさに比べて果肉部分が意外と小さくなっています。味は酸味が弱く、ごつごつした見た目からは想像しにくい爽やかな甘味をもっています。他のカンキツとは違ったカーブチー特有の香りを持っていることも特徴の一つです。

 カーブチーは沖縄で古くから栽培されている在来カンキツの一つですが、その栽培は沖縄本島中部地域で始まり、次第に北上・南下し大宜味村や名護市、本部町などに広がったと言われています。そして現在では本部町の伊豆味地域が県内第一の主産地となっています。カーブチーの樹は結実が不安定で豊作と不作を繰り返す隔年結果性が強い種類となっています。収穫時期は10月から11月上旬となっており、果皮が緑のうちに収穫されます。昭和40年代に温州みかんやタンカンなどの経済栽培品種の導入により栽培面積、生産量ともに年々減少傾向にありましたが、近年の生産量は増加傾向にあり、平成19年度から平成21年度にかけては、14.9 tから27.7 tへと約2倍近くも増加しています。しかし、沖縄で生産されるカンキツ類全体の生産量約4618 tのうち、カーブチーの生産量はたったの0.6 %ほどしかありません。近年の生産量は増加傾向にあるとはいえ、現在の沖縄ではカーブチーはマイナーなカンキツなのです。

 そんなカーブチーは見栄えのしない見た目と、果汁が多く、種が多いという商品に加工しにくい一面があります。しかし、カーブチー特有の深みのある香りと爽やかな甘さを武器に、商品開発例としては一般的な果汁ジュースだけに止まらず、県内の企業がカーブチーを原料にした香水やリキュールなどの商品開発を積極的に行っています。これらの商品開発はカーブチーの良さを見直し、沖縄のカンキツを県外や世界へアピールする機会となります。

 皆さんもカーブチーをそのまま食べて爽やかな甘みと香りを味わうだけでなく、その魅力を活かした商品を手にとってみてはいかがでしょうか。そのまま食べるのとは違ったカーブチーの楽しみ方があるかもしれません。(文・仲栄真 礁)

基本情報

糖度:9.4%

酸度:0.6%

果皮色:鮮黄橙-濃濃緑 ※

果肉色:明橙黄 ※

※日本園芸植物標準色票による

 

 

沖縄県産柑橘類の含有成分の分析-精油成分の分析-

カーブチーとシ―クヮーサーの水蒸気蒸留法による精油における成分の違い

カーブチーにおいてlimoneneはシ―クヮーサーより高い組成比を示しましたが、γ-terpineneの組成比も高く、モノテルペン類の組成比はシ―クヮーサーと類似していまます。一方、木様の香気特性をもつthymolの組成比はカーブチーでタロガヨとシ―クヮーサーに比べて特徴的に高い値を示し、これらの結果から、カーブチーでは抗リウマチ作用等が報告されているthymol1-7が多く含まれており、沖縄県産柑橘からの精油は種類によりヒーリング効果も異なることが示唆されました。

沖縄県産柑橘類の含有成分の分析-精油成分以外の分析-

カーブチーにおけるポリメトキシフラボン類、フラバノン類、シネフリンの含量

カーブチーは全体的なポリメトキシフラボノイド含有量はシークヮーサー類と同様に高く,タンゲレチン含量がノビレチンを上回っていることが特徴です。